老害とナイスガイ
明石家さんまの声が一時期出なくなっていた
大分良くはなってきたらしいがなんか心配だ
20代30代の音源と聴き比べると相当にがさがさになっている
少しでもこの先長くテレビでの姿を見たいファンとしては
もし一か月でも休養したら少しでも良くなるのであれば休んで欲しいと思うようになってきた
今年69歳で来年は満年齢で古希を迎える
世の中の同年齢に比べたら圧倒的に若く元気だ
声が出ないだけで他はすこぶる元気らしい
滑舌が悪くなってきたとかいろいろ言われるが
反射神経や瞬発力
ノールックでのネタ振りのキラーパスは未だ健在だ
フジテレビの27時間テレビにおいての『さんまのお笑い向上委員会』で霜降り明星の粗品は宮迫との件で
「なんかラジオで“粗品にはちょっと説教せなあかん”みたいな。アレなんやねん?」
とMC明石家さんまにかみつき、
さらに「西川のりおとか、あと、嘉門達夫とかも首ツッコんできて。“粗品のアレは愛がない”とか、“あいつはちょっと言い過ぎ”とか、みーんな老害!」と言った
それに対してさんまはすかさず自分を指差し自身を「老害!老害やろ(笑)」と誉め言葉のように喜んで笑っていた
生放送のためどんな雰囲気になってしまうのかとは思ったが
さんまはすかさず西川のりおと嘉門達夫に話が流れそうになるのを瞬時に食い止めるかのように自分へ矛先を向けて老害と言われて喜ぶお調子者を演じた
霜降り明星のせいやも「ナイスガイみたいないい言葉とは違うんですよ」と秀逸なツッコミを入れていた
そもそもテレビをあまり見ない若い世代には明石家さんまはどう見えているのだろうか
ネット記事などではたまに老害と揶揄される向きもある
若い世代にとっては明石家さんまが表舞台から消えたとしても
日々の生活にはたいして影響がないのかもしれないが
50年近く当たり前のように常にテレビで見てきた僕らファンにとって
明石家さんまがいなくなることは恐怖でしかない
芸能人の引退なんてみんないずれ順番にやってくる
誰がいなくなってもそのあとはなんだかんだと誰かが引き継いで繋がって続いていく
そんなことはわかっている
でも僕にとって明石家さんまの不在は恐怖でしかない
でもその時は必ずやってくる
さんまの笑いの技術やスタイルは
今の世代にはもしかしたらピンとこないのかもしれない
今の第7世代やM1やキングオブコントに出場する芸人たちのほうが面白く感じていても不思議はない
それは世代が流れて時代が流れて
生きてきた時代が違うので当たり前だ
今の若者には今の若者文化がある
僕にも好きな若い芸人はたくさんいる
「老害」とは「老齢による弊害」のことらしい
話が長くてくどい
若い時の武勇伝や成功した話を延々と話す
「昔はいい時代だった」
「最近の若者は礼儀がなってない」など・・
自分も若い時は上司にいつも同じ話をされるのが苦痛で仕方がない時があった
でも今は自分がその時の上司の年齢になってしまった
なるべく「くどい話はやめよう」「昔の自慢話は控えよう」と気を付けているつもりではあるが
もしかしたら知らず知らずのうちに若い世代に苦痛を与えているのかもしれない
若い頃に見ていた50代60代はすごく大人ではるか先の年齢と感じていたが
気付いたらあっと言う間に自分がその年齢に近づいている
でも気持ち的には20代30代と変わらないと思っていることもあれば
若い時とは違い年齢を重ねて違う考えを持つようになってきたこともある
今の若い世代にしかわからない楽しさがあり
今の若い世代にしかわからない苦しさがあるのだろう
でも僕は今の時代を冷静に客観的に眺めれば眺めるほど
70年代80年代のほうが良かったのではないかと思えてしまう
あの頃はスマホは無かった
パソコンも普及はしていなかった
ビデオ録画も一般家庭に普及したのは80年代半ば以降ではないか
でも僕たちはテレビをリアルタイムで見て
その話題を学校で友達と共有し
音楽はラジオとレコード
その他の情報は新聞・雑誌・漫画・書籍など
今より圧倒的に情報は少なかったが
それなりに楽しかったと思う
何かを調べるのも
辞書や百科事典
図書館で調べる
誰か知っている人に直接聞きに行くしかなかった
老害と言われてしまうようなお年寄りが
博識でいろんなことを知っているということもあったのだ
簡単に手に入れた者は簡単に忘れていってしまうものだ
カーナビに慣れてしまうと道もなかなか覚えることができなくなってきた
サブスクやYuTubeなどで手軽に音楽を聴けるようになってしまうと簡単に聴いて簡単に忘れてしまう
便利で効率的なことはとても快適だ
生活も楽なほうがいい
不便な世の中に戻りたいわけでもない
ただ楽なことと楽しいこととは同義ではない
僕たちは何かを手に入れたら何かを失い
僕たちは何かを失ったら何かを手に入れる
僕は年齢を重ねて
何かを失ってきているのだろうか
何かを手に入れているだろうか