さんまのチカラ

今までの人生で辛いことがあった時に 少しでも笑いたくて憧れて追いかけてきた

どれだけ新鮮に感じられるかが勝負やねん

「これからはどれだけ新鮮に感じられるかが勝負やねん」

明石家さんまが以前ラジオで言っていた

明石家さんまも芸歴50年近くになり
芸能界では大御所であり吉本興業ではTOPだ

数々の番組を経験しヒットした番組もあれば
あまり長く続かなかった番組もある
数々の芸能人とも会ってきて今では先輩より後輩のほうが多い年齢になってしまった
芸能人に限らず有名なスポーツ選手やミュージシャンとも会ってきたし
今でも交流が続く人もたくさんいる

ラジオのヤングタウンにおいてはデビューしたばかりの孫の年齢に相当する10代のハロプロアイドルと同じ土俵に立ってトークを展開して笑いに変えている
いくら仕事とはいえ結構大変な事ではないかと思う

もう現在では事務所主導の仕事ではなく明石家さんま本人に仕事の決定権があるみたいだし
芸能界の裏事情なども十分知り尽くしていることかと思う
場数を踏み過ぎて極度に緊張する現場も少ないだろうし
びびってしまうような共演相手も今では少なくなってしまっただろうかと思う

ワンパターンやベタだと言われ方をされる向きもあるが
テレビで見る明石家さんまはそれでも元気一杯だ
このモチベーションはほんとにどこから来るのだろうか

どうすれば新鮮な心持ちを維持できるのだろうか

年齢を重ねると子供のような無邪気な心も減ってくるし
初めての経験というものが減ってくる
無邪気に喜んだり驚いたり新鮮に感動したりすることが少なくなってくる

明石家さんまの人生に比べればスケールはずっと小さく
ささやかな自分の人生においても
長年仕事を続けていれば
新鮮な驚きや新人のように前日の夜に眠れないぐらい緊張する事案というのも少なくなってきた
初めて顧客先の大きな事務所フロアーの大勢の人数の前で挨拶した時など足が震えたものだ
それが経験を積んで慣れてくると緊張もしなくなってくる
もちろんそれは悪いことではなく一つの成長ではあるが
でも初心を忘れていくという弊害もある

何かを手に入れると何かを失っていくものかもしれない

子供のころは新幹線に乗るだけで感動していた
初めて買った中古の車でも一日中乗っていたかったし
自分だけの秘密の部屋みたいな感覚であれやこれやと装飾品を揃えたり
大事に丁寧に洗ったりしたものだが
大人になるにつれコイン洗車でいいやと楽なほうへ流れていく

若い頃は初めて食べるものにはいつも驚いていた
昭和世代の僕にとっては
ドリアやピザやハンバーガーなんてこんな美味しいものが世の中にあるのかと感動したものだ
田舎の喫茶店で飲むレモンシロップと炭酸だけのレモンスカッシュが最高だった


初めて行ったロックコンサートの熱気と高揚感と大合唱にカタルシスを感じその日の夜は興奮して眠れなかった
今では2時間も立ちっぱなしのライブはしんどくなってきた・・笑

デートで初めて手をつないだこと初めてキスをしたこと
すべてが新鮮だった
うーんよく思い出したらなんて純粋だったんだろう

明石家さんまのコント舞台を初めて観た時もテレビと一緒だと感動し
いやテレビより面白いと思ったものだ
明石家さんまと同じ会場内で空気と時間を共有していることに感動したものだ

中学校を卒業して春休みに近所の工場で初めてバイトをした
パートのおばちゃんたちの中で若者はほぼ僕一人
その中で教えられたことを自分なりに一生懸命働いた
すぐ近くだったので昼休みは家に帰り母親が作った昼食を食べる
その時に作ってくれた炒飯が美味しかった
こんなに旨い炒飯があるんだろうかと掻き込むように食べた
今でもあの美味さの記憶は忘れられない
今まったく同じ物を食べてもおそらくなんとも思わないだろうな
下手すりゃ不味いと母親に文句を言ってしまうのかもしれない
初めての労働の後の食事は本当に美味しかった
部活で疲れた後の食事も美味しかったが
また違う満たされ感があった

交通事故で入院して三週間程何も飲むことも食べることができず点滴だけで寝たきりだった
やっとお水を飲んでもOKという指示が出た時の水差しから飲んだ少量の水の上手さも忘れられない
病気になって初めて普段の普通の生活のありがたさを実感して
普通の生活に戻るとそのありがたさを忘れてしまう

人間慣れてしまうと駄目だな

お金を払って得る新鮮な感動というものもあるだろう
でもいくらお金を払っても得ることのできない新鮮な感動もある

決してお金では買えない新鮮な感動はたくさんあるんだ

 

そして経験して知ったつもりになっているだけで
見落として気付けていない新鮮な感動が
本当はたくさん転がっているはずなのかもしれない