さんまのチカラ

今までの人生で辛いことがあった時に 少しでも笑いたくて憧れて追いかけてきた

不適切の中にこそ笑いがあるはずなのに

 

昔は面白いことがたくさんあって良かったと思うようになったのは
年老いた証拠だろうか
気力体力が徐々に低下していく中で、昔は良かったと懐古主義になっていく

音楽は好きなのでなるべく今の若い世代が聴く音楽情報にもアンテナを張ってはいるが
いかんせん情報が多すぎて追い付かない
イントロ飛ばしでサビだけ聴くなんて聴いた気がしないし
倍速でドラマや映画を観るなんていっそ見ないほうがいい

各種SNSや各種ネットニュースをチェックなんて全部やってたら一日の時間が足りない
今の若者がテレビを見ないのはそりゃ当たり前だろうなと思う

SNS・ゲーム・YouTube・友達とのLINE・サブスク動画など
そりゃテレビなんて見る暇なんてないわな
逆によくそんなにSNSに費やす時間があるもんだと感心する


ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)が面白い。
80年代を懐かしく思う世代は結構楽しく見ることができるドラマだ
そして昨今のコンプラ重視の制限だらけのテレビ界の制作現場において
この方法があったのかと感心する設定だ。
脚本は宮藤官九郎。さすがだな

80年代当時の文化を忠実に再現するためと前置きしたうえでバンバンと今では放送できないシーンを連発する
制限の中で限られた条件の中で新しい発想でクリエイトしていく
閉塞した世の現状をはみ出ていく戦法は痛快このうえない

『ラヴィット!』(TBS)もあまり見たことはないが
徹底的にバラエティで押し通す姿は僕は好きだな
どこの局でも情報番組やワイドショーを一日中やってどこも同じニュースだ
世の中の事件やニュースももちろん重要だが、これだけどこもかしこも同じ内容では辟易する
ぼんやりバラエティを見て笑ったり、くだらないなと思ったりするほうが健全じゃないかと思えてくる

三者ではどうすることも出来ない芸能人スキャンダルをコメンテーターが順番に私見を述べるだけの番組なんだから
そりゃ若者たちも余計に見ないわな
情報だけならネットで収集できちゃうんだし

予算をかけて徹底的に作りこんでる海外ドラマや韓国ドラマに勝てるわけがない
ただ日本が誇るアニメやゲームは若い才能が結集されているので素晴らしくクオリティが高い
若い世代たちがそっちに夢中になるのは当たり前だろう

しかしコンプライアンスとは一体なんなんだ
プライバシーとは一体なんなんだ
セクハラ・モラハラパワハラとは一体なんなんだ

女性の地位向上には何の異論はない
仕事でいろんな若い世代と接してきたが
基本的に若い女性はみんなしっかりしている
僕の接してきた範囲では若い男性より若い女性の方がしっかりしている人が多い印象だ

結局男性女性に限らず、出来る人は出来ないし
わかる人にはわかるし、わからない人にはわからない
わかろうとするか、わかろうともしないかのどちらかだ

そこに男性だからだとか、女性だからとか
若いからとか、高年齢だからかと
キャリアがあるからとか、経験が浅いからとかではない
天下り団体に役職として赴任して他の人が忙しくしているのに
一切電話をとらずに新聞を読んでいる人もいた
今も昔も結局その人の人間力次第だ


今の若い世代には信じられないかもしれないが
昔は二時間サスペンスドラマでは
入浴シーンやベッドシーンでは
女性の胸やお尻はよく出ていたし
ドリフターズのコントでさえ銭湯コントでは上半身裸の女性たちは出ていた
芸能人水泳大会では騎馬戦で水着がとれておっぱいポロリなんてあった
子供心にそれが仕込みでヤラセであることもわかっていた

家族みんなで見るには気まずいベッドシーンなんてたくさんあったぞ
11PM』(日本テレビ)や『トゥナイト』(テレビ朝日)のお色気情報は楽しみだった

そんなエッチなシーンをテレビで見て性犯罪を犯すきっかけになんてなるのだろうか
女性の裸を鑑賞することは女性蔑視なのだろうか

今なんてあの時代から考えると信じられないどぎつい映像はネットで簡単に見られる
盗撮犯罪なんてスマホや各種機器の発達で逆に増えてしまった

僕たちの子供の頃なんてスカートめくりなんて普通に学校でやっていた

電車やバスの中、飲食店で赤ちゃんにお乳をあげているお母さんも普通にいた
農家では庭に便所がある家が多く扉も全面ではなく上下は吹き抜けのところあった
煙草も電車やバスの中で吸えた
会社のデスクではみんな煙草を吸いながら仕事をしていた
コンドームの自販機もあったし
エロ本の自販機もあった


昔が無条件に良いとは言わないが、暗黙の了解・グレーゾーンと許容範囲は広かったというか緩かった

果たしてどちらがいいのだろうか

自転車にヘルメット着用努力義務があるのに、自転車よりスピードが出るキックボードには着用努力義務が無いなんておかしくはないだろうか?
おかしなことが多すぎる

昔は雑誌のヌードではヘアは禁止で載っていなかった
しかし宮沢りえヘアヌード写真集『Santa Fe』が発売された頃から
なんか解禁みたいな風潮になり
今では当たり前に掲載されている
もうわけがわからない
そしてなぜテレビでは不適切と判断されダメなことが多いのか

明石家さんまも現在では
アシスタントの女性に対するいじり方が制限が多くやりづらいと嘆いている
テレビ側も微妙なシーンは編集でカットにしてしまう

立川談志は落語を「業の肯定」と説いた
落語には人間のどうしようもない業のすべてが詰まっている

人間には多かれ少なかれ
公共心・道徳心・愛情・奉仕の心・助け合い・感謝の心があり
同時に
妬み・嫉み・恨み・差別心・嘲笑・見下す心・性癖・異性及び同性への興味がある

尊敬に値する素晴らしい人達もたくさんいるし
迷惑ばかりかける自堕落な人たちもいるだろう

誰にだって
きれいな面もあり
卑しい面もある


両方を清濁併せて受け入れないと
笑えることも笑えなくなる