さんまのチカラ

今までの人生で辛いことがあった時に 少しでも笑いたくて憧れて追いかけてきた

笑いと不安は背中合わせ(ナイティナイン岡村とさんま)

笑いを生業とする者が
笑えなくなり
笑わすことができなくなり
笑いが怖くなる

 

2010年にナイティナインの岡村が
体調不良のため一時期休養した

本人の口からも公言しているし
今では結婚して子供もいる
本当に良かった


僕の家族も一時期精神疾患で苦しんだ
本人が一番つらかっただろうが
周囲の家族も相当大変だ
思い出したくないこともたくさんある

岡村の具体的な病名や
正確な詳細はわからないが
精神疾患は多岐にわたる

うつ病
パーソナリティ障害
ひきこもり
神経性過食症
ストレス障害
境界性パーソナリティ障害
アルコール依存症
不安障害
統合失調症
うつ病
パニック症
PTSD
ADHD
強迫性障害
適応障害 などなど もっとたくさん

もうわけがわからないぐらい症名があり
ずばりコレです!なんて明言できる医師なんて
いないのではないだろうか

何にストレスを感じ
何に不安を感じて
心や体や行動にどう影響するのか
人によって様々だろう


岡村は休業中はお笑い番組
見ることができなかったそうだ
なかでも明石家さんまの番組を
見ることが恐怖でしかなかったようだ

なんかそれではさんまが悪いように聞こえてしまうが
それほどさんまのお笑いエネルギー放射が凄まじいからなのだろう

岡村が休業中に『めちゃイケ』にさんまが出演して
相変わらずさんまの独壇場みたいな回になり
岡村不在の番組を大いに盛り上げた

しかし岡村は復帰後の今もその回の録画を
怖くていまだに見ることができないそうだ
あの時に戻ってしまうではないだろうかという恐怖かららしい

お笑い芸人だからといって
こういった心の病と無縁なわけではい

笑いを突き詰めようとすると
心の奥底に潜む狂気に触れてしまうのだろうか

昔からギャグ漫画家が煮詰まって逃避行したり
締切に間に合わず何度も原稿を落として
そのまま連載がフェードアウトしてしまうケースもあった
  
ギャグにどっぷり浸かった生活は
面白さを求めすぎると
何が面白くて何が面白くないのか
わけがわからなくなってしまうものなのだろうか

番組本番や舞台上では明るく動き回り
軽快なのに楽屋やプライベートでは
人見知りで口数が少ない芸人も多いという

笑いにさまよい
笑いを味方につけようと
笑いにすがると
笑いを見失う

 

ミュージシャンも同じかもしれない
歌わなければならない
歌で観客を喜ばせなければならないと
思えば思うほど
歌うことがつらくなるのかもしれない

無邪気な子供のころは
上手く歌おうなんて思っていなかった
好きだから歌いたいだけで
好きだから勝手に鼻唄のように
口ずさんでいただけだ

「ママ、聞いてえ」
「うまく歌えたね」
親子の笑顔のやりとりだけで充分だった


喜ばせるのではなくて
喜んでほしい

楽しませなければならないではなくて
楽しんでほしい

笑わせなければならないのではなくて
笑ってほしい


さんまはこのバランス感覚が
飛びぬけているのかもしれない

そして「自分を過信していない」という
謙虚さが根っこにあるから
土台が崩れることがないのではないか


お笑いのプロとして
客を笑わせることは重要ではあるが
笑わせようという態度が全面に出るとしらけるものだ

ただ面白いから笑う
それ以上でもそれ以下でもないのかもしれない