さんまのチカラ

今までの人生で辛いことがあった時に 少しでも笑いたくて憧れて追いかけてきた

笑いのコンダクター 明石家さんま

 

人は自分には無い物を持っている人に憧れる
自分に劣等感があると
優れている人を見るとうらやましくて眩しく見える
時には卑屈になって
逆に目を逸らしたくなるかもしれない
でもやはり
自分にはできないことが出来る人には
憧れと尊敬しかない

 

クラシックには詳しくはないのだが
指揮者によって演奏はまったく違う表現になるらしい


自分一挙手一投足を注視され
自分の決断において集団が右にも左にも動く
ある意味快感なことかもしれないが
ある意味では恐怖でもある

すべての奏者の目線が
自分に集中して集まり
自分の指揮により
表現の方向が決定される

それは自分に自信があり
描きたい表現があれば
強烈に楽しいのかもしれない


奏者のスキルや音を
すべてを理解して把握して
自分が描きたい音の設計図に沿って
音楽空間を作っていくのが
指揮者だ


さんまが
集団でのお笑い番組のMC
コントの舞台
空気を読みながら
笑いのアンサンブルを作っていくようなものだろうか

オーケストラは一人ではできない
管楽器・弦楽器・打楽器など
奏者の技術や特性や個性も理解していなければならない

お笑いは漫談や落語のように
ピン芸で一人で完結するものもあれば
漫才は基本的に二人
三人以上の複数もある

明石家さんま
もともとは笑福亭松之助の弟子となり
落語家としてスタートした

その後師匠のアドバイスにより
漫談で徐々に人気者になり
テレビタレントとして
飛躍的に有名になっていった

桂三枝(現・文枝)に鍛えられ
オレたちひょうきん族』でビートたけしに真っ向から挑み
たくさんの芸人たちと絡み
突出したアドリブ能力と明るさと
誰とでも絡める柔軟性で
どんどん才能を開花していった

ビートたけしとコントを演じきり
タモリとの雑談をエンタメとして定着させた

あっぱれさんま大先生』では子供相手に笑いを作り
恋のから騒ぎ』では素人女性を相手に笑いを作り
踊る!さんま御殿!!』では様々な職種の芸能人たちの
個性を引き出しキャラを育成して
笑いを指揮していく


業界用語で「回す」というらしいが
さんまの「回す」という
仕切る能力は群を抜いている

会議でも宴会でもイベントなどの司会は難しいものだ
進行ミスや準備漏れなど
イレギュラーな事態も起こる
観客なり参加者を飽きさせないようしなくてはならない
しらけたムードになったり
客が集中していないとあせって余計にグダグダになっていく

僕も稚拙ながら小さな集まりの進行などをしたことがあるが
自分が思っている進行イメージの半分もできないことばかりだった

もちろん自分は芸人でもないし司会業でもない
出来なくてもそんなに気にすることではないが
でもやはり
上手に進行できたり
みんなを笑わすことができたらいいな、と思う


だから
自分にはできないことが出来る人には
憧れと尊敬しかない

さんまは全体の俯瞰力と
予測のつかない相手の出方に対する柔軟な対応力に優れている

舞台にしろ番組収録にしろ
メンバーの調子
その場の空気
観客の年齢層や雰囲気
様々な要因が絡み合う現場は生き物だ

オーケストラもお笑い番組
ベースとなるのは基礎練習に基づいた個人のスキルだが
スキルが集まれば
良い物になるとは限らない
ミスもあれば好調不調の波もある

これは芸事に限らずチームスポーツでも同じだと思うが
たくさんの要因が有機的に影響しあい
予想以上に上手くいく時もあれば
予想より上手くいかない時もあるだろう

 

それらすべてを把握して
コントロールできるのが
優秀なコンダクター(指揮者)なのかもしれない


そして
さんまは笑いのコンダクターなのだ