さんまのチカラ

今までの人生で辛いことがあった時に 少しでも笑いたくて憧れて追いかけてきた

普通の人が一番怖いんだ

オレたちひょうきん族』(フジテレビ系列 1981ー1989)の
タケちゃんマン』のコーナーにおいて
明石家さんま演じるたくさんの人気キャラクターがいた

ブラックデビル
アミダばばあ
ナンデスカマン
『知っとるケ』

その中にあまり一般ウケせず
短命で終わったキャラクターがある

『サラリーマン』

商事会社に勤め、高卒、給料手取り187,700円、毎日2時間残業
メガネとスーツの普通のサラリーマン

「フフフ」と不適な笑みを浮かべながら
名刺を差し出す技を持つ

ひょうきんマニアやコアなさんまのファンの中では有名で
実をいうとビートたけしもお気に入りらしい

しかし当時の子供達には支持を得られず
わかりにくかったみたいで数回の出演のみの短命に終わった

「出世する事と家を買う事を諦めたサラリーマン程、やっかいな者はいない。怖い物知らずだから、無茶できる」と
ビートたけしが発言していたことがモチーフになったらしい

タケちゃんマン7
「何だお前、普通の人じゃないか」

さんま扮するサラリーマンがこう返す

「普通の人が一番怖いんだ」

シュールで地味な設定で
ワイワイ騒いで真似をしたい子供たちにはピンとこないだろう
シュールなコントも数多く見ている今の世代だとどういった反応になるだろうか


『サラリーマン』は和製英語で、
「雇用主から給与を得て生活している者、または、そのような給与所得者によって構成された社会層」の意味
まあ言ってしまえば世の中で働く殆どの人がそうだ
経営者や自営、役員、政治家、芸能人などに比べれば圧倒的な人数だ

最近は「社畜」(「会社の家畜」という意味)みたいに
揶揄された表現もある
昔から没個性的な組織の歯車の象徴であり
高度成長期にはみんな同じようなスーツで出社して
ストレス解消はお酒を飲みながら会社や上司の愚痴
ネクタイを頭に巻いて宴会ではしゃぐ
今も昔もあまり
憧れの対象となる存在ではない


「普通の人が一番怖いんだ」には
いろんな意味が含まれる

たけしもさんまも
当時は凄い人気者であったので
いろんな特殊なファンから
ストーカー的な迷惑をたくさん被っている
そういった人たちは
みんな「普通の人」に見える人たちばかりであったろう

「普通ではない人」の定義も難しいが
反社や特殊な団体も見方によっては怖い面があるが
そこには一つの行動目的が根底にあるので
ある意味わかりやすさがある
良い悪いは別として

昨今の各種事件はいわゆる「普通の人」が信じられないような事件を起こす
そういった事件後の経過はあまり大々的に報じられることがないため
世間からは忘れられていく

芸能人の不倫やスキャンダルなどは
本来は世間の人には関係のないことで
そこまで叩かれなくもいいのではないかと思うが
復帰が難しいみたいだ


「普通の人」という基準は曖昧で都合のいいあてはめ方だ
誉め言葉にはなりにくく
面白味が無いという意味で表現されがちだ

「出世する事と家を買う事を諦めたサラリーマン程、やっかいな者はいない。怖い物知らずだから、無茶できる」というたけしの言葉は
一つの極論ではあるが
何もかもあきらめ
何かも捨ててしまう気で
いつ死んだっていいという
厭世的考えを持ってしまった状態が一番怖い
周りを巻き込むこともいとわない


だから
動機はなんでもいい
女性や男性にモテたい
人気者になりたい
金持ちになり豪邸に住みたい
子供の成長を見たい
親孝行をしたい
カラオケで歌いまくりたい
旅行に行きたい

なんでもいい
死にたいとか
犯罪行為に手を出すとか
負のベクトルとは
逆のベクトルの想いがあれば
生きていけるはずだ

それが本当の「普通の人」だ
有名でなくとも
大金持ちでなくても
目の前の幸せに笑うことができて
たった一人でも誰かを喜ばせることができれば

それがたとえ「普通」でも

それがたとえ「サラリーマン」だとしても


素敵な人生だ