さんまのチカラ

今までの人生で辛いことがあった時に 少しでも笑いたくて憧れて追いかけてきた

異端の先にあるメインストリーム

 

明石家さんまは元々は落語家だ
笑福亭松之助に弟子入りして
弟子時代は川沿いを歩きながら落語を繰(く)っていたという
繰っていたというのは要は練習していたということだ

実際にもし落語を高座で披露したらどんなものになるか興味はそそられる

師匠から「雑談を芸にしてお客を笑わせたら一流や」の言葉を忠実に実践してきている
さんまの才能を見抜いて向かう方向を示した笑福亭松之助も凄いが
ちゃんと師匠の教えを忠実に守るさんまも凄い

あまり印象にないかもしれないが
さんまは先輩後輩としての礼儀や
師匠の教えは素直に聞くタイプだ

そんなさんまだからこそ
吉本興業創業110周年特別公演『伝説の一日』での『さんまの駐在さん』において
先輩後輩を含めた人気者たちを仕切っていじって全体を回すことができる

ダウンタウンでもそこまでの関係性がないため難しいと思う

今でこそお笑い界のメインストリームを走っている印象だが
漫才ブームの時は人気においては他の漫才コンビより人気は下だったたし
漫談もそれなりに受けてはいたが
トップ人気でもなかった

やはり大きな分岐点は『オレたちひょうきん族』でブラックデビルアミダばばあのキャラクターで子供も含めて幅広い年齢層に人気が出たこと

そして『男女七人夏物語』において
男としてのカッコよさが若い女性たちにも受け入れられたことが大きい

そして大竹しのぶとの結婚
結婚当時の大阪での吉本の劇場での楽屋では
芸人仲間たちからは驚きと拍手喝采だったという
大阪の芸人が人気女優と結婚したことが
仲間として誇らしく思ったという

芸人は今でこそ社会的認知もされ
MCもこなし役者もこなし
本当は頭の良い人達と認知されステータスは上がったが
昔は芸能界のヒエラルキーでは末端扱いだった
俳優・女優・アイドル・文化人の下の扱いだった

それをひっくり返した功績が一番大きいのは
やはりビートたけしだろう
映画監督としては海外評価され
小説も書いて絵も描く
昔は詩集を出していた
そして『浅草キッド』という芸人のバイブルのような曲も書いてしまった

今の世代にはいわゆるBIG3は時代遅れのお爺さんにしか見えないかもしれないが
やはりビートたけしタモリ明石家さんまは凄いのだ

みんな異端としてはみ出て自分たちのスタイルを貫き通して
第一線に駆け上がった

そして雑談芸をメインにして勝負に挑むという
異端の道を突き進んだからこそ
今の明石家さんまがある

それは次の世代のとんねるす・ダウンタウンにも言える
ダウンタウンは新人の頃は横山やすしには酷評されていた

しかし島田紳助明石家さんまダウンタウンがNSC時代に講師として出向いた際に
「一組だけ飛びぬけた奴らがおる」と
早くから才能と実力を見抜いていたらしい

ダウンタウンの漫才はチンピラの立ち話と横山やすしから酷評されたように
今までにまったくなかったスタイルだった

漫才師たちは元気よく明るくオーバーに表現するのが当たり前だったのに
声を張ることもなく淡々とゆっくりとしたテンポの漫才だった
従来のセオリーを全く無視したスタイルを貫き通してTOPにのし上がった

 

異端で勝負して成功することなく消えていった人たちもたくさんいるだろう

世間から異端と見られても
自分を信じて突き進む姿はたまらなくかっこいい

自分が好きで信じた道を進むことが本人たちにとって最良の選択だったのだろうし
芸人に限らず人生を賭けて挑むような好きな仕事があるっていいなと思う

幸運不運は人によって解釈や捉え方が違うが
好きなことに若い段階から出会うことが
何よりの幸運なことではないか


今からでも探せば出会えるのだろうか